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  • 執筆者の写真 MEDULLA

美容院の鏡の前に座ると2時間後には、新しいわたしになっている。


 

「女性は失恋したら髪を切る」なんて昔から言う通り、髪は女性の心を表しているのかもしれません。

そんな女心と髪にまつわる、ショートストーリーシリーズがスタートしました。

 

あの頃のわたしたちは若かった


みんなと同じ制服を来て、学校に通っていたあの頃、私たちは若かった。


休み時間や放課後にみんなで「これかわいい」「この子みたいになりたい」と1冊のファッション雑誌で無限に盛り上がった。


お気に入りのプリクラ機に並んでは、1枚では満足できず4枚も5枚も撮った。

プリクラを撮るときだけ腰を折りまくった即席ミニスカートの制服は、イケてる女子高生の証だと思っていた。


髪だってハイトーンのヘアカラーでイケてる強い女子を気取った。


思えば、人生初のヘアカラーは、ドラッグストアで買った市販のセルフカラー剤。かわいい女の子のイラストがパッケージに描かれていた気がする。



あれは、高校1年生の夏


どの色にするか決めるのだけで数十分かかった。

初めてのカラーリングの色は当時の私にとって重要な決断の一つだ。


やっとの思いで決めた商品を手に会計に並び「カラー剤ってけっこう値段するんだなー」と、お財布の中から残り僅かな小銭たちにサヨナラを告げた。


「カラーしたら今より可愛い私になれるはず!」じわりと汗ばむ夏の暑さなんかも気にせず、1個のミッションを果たしたうれしさで自転車を立ち漕ぎして帰ったのだ。


友達とカラーデビューする約束をして、カラー剤の塗り合いをしたのを覚えている。

「ちゃんとできた~?」「こんな感じでいいのかな?」って美容師になったつもりではしゃいで、でもアタフタして。


カラー剤を塗り終えサランラップでくるんだ頭を放置している時間は、もどかしいくらいにワクワクしていたものだ。

カラー後は、パッケージ通りに描かれている女の子とお揃いの“メイプルモカ色”になってて大満足。初カラーに感動して、何回も鏡を見ては、ときめいた。


でも、学校に行ったら案の定、 先生に呼び出される。それも今ではいい思い出。



あの頃から、私は大人になった


学生から社会人になって、あっという間に時が流れた。


今年、わたしは30歳になる。


大学を卒業したばかりの頃のわたしは、いわゆる” モテ系 ”の清楚女子になるべく栗色ヘアーが鉄板だった。


雑誌の「鉄板モテ〇〇」「愛され〇〇」の見出しに、引き寄せられるように手にとり、そのままレジに並んでいた。


付き合う彼氏の好みのよって、カラーチェンジすることだって何回もあった。当時の彼氏に「外国人風の髪流行ってるよね、可愛い」と言われて、アッシュにも挑戦した。


それだけ、人生の半分以上を恋愛やファッションに捧げていたのかもしれない。


今では” イイ女 ”を目指して「キレイになる」「美肌になる」と言われるものは、とことん試してる。


もちろん、ヘアケアも欠かさない。


2ヵ月に1回は自分へのご褒美として、芸能人御用達の表参道にある美容院にも通う。今日は、そのご褒美の日だ。


鏡の前には、2時間前とは生まれ変わったわたしがいる


「今日もいい感じに仕上がってますよ~!ツヤツヤでステキですね!」


美容師が施術を終えた髪を整える。大人の女性という言葉が似合う年齢になったわたしは、黒髪に落ち着いた。そう、わたしの色。


そのときどきの気分や憧れでいろんなヘアカラーを試してきたけど、“ どの時代のわたし ”もわたしは好きだ。


今だって、高1の夏に自分で染めたはずの、この黒髪を気に入っている。


美容室帰りはいつも気分がいい。「今日は、イイ人に会えるかも」。


女子高生の時と変わらないトキメキを抱いて、週末の街を歩くー。


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